人間性という「心」の時代 平成から令和へ

一つの時代が終わり、新たな時代が始まります。

MOTHERという奇跡

いつか無くなるものを求めちゃいかんのだよ。
無くなるものは、求めるためではなく、
そいつで遊ぶために、この世にあるんだからな。

セフティ・マッチの金の言葉 より

ほぼ日刊イトイ新聞のトップに書かれているこの言葉。MOTHERファンの皆さんにとっても馴染み深いものです。どんなモノやコトもいつかは無くなるし終わりが来る。だからこそ求めるのではなく楽しむことが大切だと。

1989年 (平成2年) 7月27日。MOTHERが産声をあげます。そしてこのゲームシリーズは平成を代表するゲームの一つとして、いつか無くなる (終わりが来るし、廃れる時が来る) という物事の宿命を背負いながら、新たな時代へと羽ばたこうとしています。

当初、私管理者アポロ船長は、MOTHER3の発売によりシリーズが完結し、2008年 (平成20年) 1月31日にMOTHER3からリュカの参戦が決定した大乱闘スマッシュブラザーズX (スマブラX) がリリースされたことで、今後はファン活動は終息に向かい、ここMOTHER Partyも一定の役割を終えるものと思っていました。ファン層の高齢化と現実生活を受けたファン活動からの離脱。それらは一般的な歴代ゲームシリーズの宿命でもあり、MOTHERシリーズもそれにもれず「いつか無くなる」時が近づいていると考えていました。

こうした現実を踏まえ、この時私は「ある決断」をすることになりました。

まず「MOTHERで得たものを胸に、新しい分野に挑む」という趣旨でプロジェクトタイムズという、ゲームに加えて今日のボカロなどへと幅を広げたものを立ち上げました。これは実際にオフでの活動や初音ミクのクリプトン社様との密接なやり取りなど、今も続く一定の成果はありましたし、今日のMOTHER PartyリニューアルオープンやP2y.jpの立ち上げにもつながっています。

しかし結果的にはこのプロジェクトタイムズは行き詰まることになりました。あらゆる面で経験・実力不足を露呈し、いくつかの誤った選択もありました。一方この間MOTHER Partyの運営もシステムの老朽化で休止を余儀なくされてしまいました。

その間、海の向こうでは長年の友人である米国MOTHERファンの皆さんが法人「Fangamer」を設立、ゲームグッズを手掛けるなど、次のステップへと確実に進んでいました。私は彼らの素晴らしい取り組みに深い敬意を示すと共に、一方での自身の不足を深く反省いたしました。

前述のように当時の私には「シリーズ完結後は歴代のレトロゲームのようにMOTHER全体が終息に向かうのでは」という誤った判断がありました。今思えば、これは本当に愚かなものでした。

普通なら歴代ゲームシリーズと同様、完結すればファン活動も終息に向かうと考えるものです。特にMOTHERシリーズは最も高齢のファンでは50代、いや60代近くにまでなろうとしている方も決して珍しくはありません。私アポロ船長も当初は若いと言われましたが、今や30代半ば。当時から交流のある皆さんの多くも3、40代です。これほどファン層が高齢化しているのだから、今の若い方が使われる所謂「#MOTHERクラスタ (コミュニティー) 」を今後も維持するのは必然的に難しくなると思うのも無理はないところなのかもしれません。

しかし今日、実際にはスマブラ新作を通じ新たな若い (特に10代の) MOTHERファンの皆さんが誕生し続け、Twitterなどで「#MOTHERクラスタ」を形成し、今日まで成長し続けているのは皆さんご存じの通りです。そしてこうした新たなMOTHERファンの皆さんが作り出すダイナミズムは、MOTHERシリーズが生まれ駆け抜けた平成時代を飛び越え、令和時代へと羽ばたこうとしています。

平成に生まれ、往年のファンにリアルタイムに愛され、今や次世代を担う若いファンの皆さんをも獲得し続けるMOTHERシリーズがいかに奇跡であるか。必ず来る「いつか無くなる」瞬間は、少なくとも今ではない。「人間的あたたかさ」と「愛」をテレビゲームという舞台で表現することを目指し、今日にまで愛されるこの物語は、新たな時代の扉をも開こうとしています。

人としての「心」

平成から令和へ時代が変わったり、MOTHER Partyがリニューアルオープンを迎えたり。
私管理者アポロ船長は30代半ばにまできて、ここで一つの事に気付きました。

人としての心があるものは成功し、人としての心がないものは失敗する

MOTHERシリーズ、任天堂、そして初音ミクといったムーブメント…これらが成功した裏には「人としての心」があったからではないかと。

We appeal as human beings to human beings: Remember your humanity, and forget the rest.
If you can do so, the way lies open to a new Paradise; if you cannot, there lies before you the risk of universal death.

私たちは人間として、人間たちへと表明します。あなた方の人間性を思い出し、残りを忘れなさい。
あなた方がそれが出来るならば、その道は新しい楽園へと開かれています。そしてもし出来ないのならば、あなた方の前には全面的な死の危険が横たわっています。

The Russell-Einstein Manifesto
ラッセル=アインシュタイン宣言

冷戦時代にアインシュタインや湯川秀樹といった科学者たちが核戦争への警鐘を鳴らしたこのラッセル=アインシュタイン宣言。この声明は核戦争への警鐘にとどまらず、次の時代の道標でもあるように思えます。

NHKスペシャル・アインシュタインロマンによれば、「人間はただの物質では?」「究極理論を前に人としての心など無意味では?」等の問いに対して、アインシュタインが

「人間性を失ってはならない」

と答えたという逸話があります。
どんなに人知を超えた領域でも、人としての「心」を失うなと。

平成は「真剣に頑張る名もない人を高見から嘲う」という文化がネット上で猛威をふるった時代でもありました。自由闊達に物事を表明出来ない息苦しさ。その一端を担ったある方は平成の最後に日本は終わった等と他人事のように外国から発信していたようです。人間性を放棄し、数多の人々を不幸にし、他者を頭の悪い人間であると見下す。MOTHERシリーズでも見かけなかったようなこの方は人間性を失い尽くした先に何を見るでしょうか。

令和の新たな時代。人間性をとどめ、頑張る人を炎上させるのではなく応援する世の中となることを願うとともに、MOTHER PartyもMOTHERシリーズのポータルファンサイトという立場から、この新たな時代を皆さんと歩んでいきます。

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